自分の好きなエンジン①:ダイムラーベンツ編
きっかけ
私は,人が自身ではできないものを動かすエンジンが好きでこのブログを書くことにしました.
ダイムラー・ベンツとは
1883年、カール・ベンツはベンツ&シー・ライニッシェ・ガスモトーレン・ファブリークをマンハイムで立ち上げ,2ストロークエンジンの開発に着手.1886年には世界で初めて「ガソリンを動力とする車両」に関する特許を取得し,1890年代から自動車を量産しました.
一方,ともに内燃機関の技術者であったゴットリープ・ダイムラーとヴィルヘルム・マイバッハは1890年にダイムラー・モトーレン・ゲゼルシャフトをシュトゥットガルトに設立.自動車の発明ではベンツに後れを取るものの,オーストリア人企業家エミール・イェリネックの支援を受け,1900年にヴィルヘルム・マイバッハ制作のレーシングカーでモータースポーツへの参戦を開始.
しかし,1920年代に入るとドイツは第一次世界大戦終結後の急激なインフレに見舞われ,経済危機に瀕していました.これは両社とて例外ではなく,ベンツ&シーは1919年にダイムラー・モトーレン・ゲゼルシャフトに最初の合併を持ちかけたが,拒否されてしまったが,財政状況が好転することはなく,1924年5月1日,ついに両社は「相互利益に関する協定」を締結し,合併を目指すこととなり,1926年、両社は合併し新会社を設立.社名を"ダイムラー・ベンツ"とし,本社はダイムラー・モトーレン・ゲゼルシャフトの本拠地であるシュトゥットガルトに置かれました.
DB(ダイムラー・ベンツ)エンジン
皆さん,ご存じのDBエンジンで有名なのは自動車に多いかと思いますが,私が好きなのは”DB601”,”DB605”,”HL210”等のエンジンです.
なんと!これらのエンジンは,戦車,航空機に使用されたエンジンです.その中でも,DB601について詳しく紹介したいと思います.
=DB601=
このエンジンは,ドイツのほぼすべてのBf109系列に取り付けられています.構造としては,高圧縮低回転型で燃料事情の良くないドイツの国情に配慮する一方,燃料直接噴射ポンプの搭載,倒立V型気筒で発動機中央に機銃が通せる構造や,側面に装備されたフルカン式継手を用いた無段変速の過給機,ローラーベアリングの多用など,非常に高度で複雑な機構を多数採用していました.
・高圧縮低回転型
簡単に言うと低回転は,現在の自動車にも用いられているエンジン構造で燃費が良く安定した出力を出すことがでる.高回転は,スポーツカー等にも用いられているエンジン構造で低回転型よりも圧倒的に高出力を出すことがでる.そこで上記の画像のように高圧縮にすることで低回転でも高出力を出すことができる.
・燃料直接噴射ポンプ
分配型電子制御燃料噴射ポンプ
燃料室に直接燃料を霧噴射しているのでポート噴射(各シンダーに独立して燃料を噴射)と比較して圧縮比がとても高いので高効率で高出力の両立が実現しやすい.しかし,高温・高圧に耐える噴霧を最適化した専用のインジェクターや高圧の噴射ポンプ,特殊な形状(冠面がくぼんだ)のピストンなどを必要とするため,エンジン全体のコストが上がる.
・フルカン継手
水・油などを用いて二軸を間接的につなぐ伝動装置.入力軸にポンプ羽根車,主力軸に水車羽根車を付け,入力軸の回転を流体の動きを介して出力軸に伝達する.
・ローラーベアリング
転動体(玉やころ)を2つの部品の間に置くことで荷重を支持する軸受。部品同士の相対的動きにより、転動体は非常に小さな転がり抵抗(そういった動きによって走行に必要なエネルギーを熱として浪費してしまうこと)で自転し、同時に若干すべるような動きをする。
まとめ
ドイツの科学力は世界一~~~~~~!
DBエンジンは,多種多様で複雑な構造をしており生産性には欠けますが,先進的なエンジン構造をとっており,脱帽する他ないと思いました.現代のエンジンも魅力的ですが,昔のエンジンも興味深いですね.
画像の引用先
Daimler 15. Amazing pictures & video to Daimler 15. | Cars in India
ファイル:Fluidcoupling real.png - Wikipedia